第三者委の指摘にあった虚偽の公文書については、AERAdot.も入手した。

 市は昨年2月、総務省の調査で提出した報告書に、

<令和3年度洲本温泉利用券に係る仕入れ価格について>

 というつじつま合わせの“公文書”を急きょ作った。

 その文書には、

<仕入価格 1万円券 5500円  5千円券 2750円>

 との記載がなされていた。

 この公文書をさらに正当化するために、事前に内部で打ち合わせをし、

<魅力創生課・会議・協議・打合せ・連絡調整等記録票>

 という文書を作成、

<平成31年4月1日 洲本市シティープロモーションに係る協力事務手数料について>

 として打ち合わせをしていたと記していた。

総務省に報告を求められて事後に作成した虚偽の公文書

 総務省市町村税課の担当者は、

「提出されたそれらの報告書が虚偽であるとは知りません。当時は正しい文書と見て、それらの内容に基づき、総合的に勘案して指定の取り消しという決定をしました」

 と話した。

 こうした事態を重く見た市議会は10月、法律に基づく強い調査権を持つ「百条委員会」(元市職員の不適切な事務処理等に関する調査特別委員会)を設置した。

 12月7日には、つじつま合わせのような公文書に決裁印を押した元部長が証人として立った。

元部長は事後作成を認める証言

 前出の記録票を示された元部長は、

「押印したことは間違いありません」

「本市に国の調査が入った時期に作成し、押印しました」

 などと説明し、文書が後から作成されたことが極めて濃厚となった。

 ある市職員は、

「元部長は、実際には開いていない架空の打ち合わせを決裁した、と自白したようなものです。部長という責任ある立場の人物がとんでもないことを」

 と憤りを隠さない。

 こうしたなか、市民の有志2人が12月14日、百条委での元部長らの証言を受け、元部長や上崎勝規市長らを有印公文書偽造罪で刑事告発した。

 告発した市民がこう話す。

「総務省をだますような公文書偽造は、上崎市長ら幹部の了解なくしてはありえない。第三者委や百条委では非常に生ぬるいです。強制的に捜査してもらうことで真相解明すべきだと思い、刑事告発しました」

 上崎市長を電話で直撃すると、

「第三者委の指摘は真摯(しんし)に受け止め、やっていかなければなりません。(公文書偽造どで)刑事告発されていることは知りませんでした」

 などと答えた。

住民に説明する上崎勝規市長=2023年10月
ふるさと納税制度問題が噴出した洲本市

 12月27日には、百条委で公文書偽造の疑惑や、旧東京アンテナショップでの販売品の不明朗な処理などについて、旅館連盟の関係者や返礼品事業者らへの尋問が予定されている。

(AERA dot.編集部・今西憲之)

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