現代野球において最も価値が高いと言われる野手は確実性と長打力を備え、さらにスピードも守備力もある選手である。そんな選手の分かりやすい勲章が打率3割、30本塁打、30盗塁のトリプルスリーであり、2010年代には山田哲人(ヤクルト)が3回(2015年、2016年、2018年)、柳田悠岐が1回(2015年)達成している。特に山田の3回達成というのは前人未到の大記録であり、今後なかなかこれに並ぶ選手が出てくることは難しいだろう。ただいつの時代も新たなスターは出てくるものである。そこで今回は次にトリプルスリーを達成する可能性を秘めた選手を探ってみたいと思う。
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まずセ・リーグで可能性を感じるのが佐藤輝明(阪神)だ。ホームランが出づらいと言われる甲子園を本拠地にしながらも、入団から3年連続で20本塁打以上を放っており、30本塁打は近年の間にクリアが期待される。打率に関しては打撃の調子に波があるのは課題だが、年々出塁率も向上しており、ホームランに比例して上がっていけば、3割も現実的な目標と言えるだろう。トリプルスリー達成に向けて、ここから大きく上げていく必要があるのが盗塁だ。過去3年間の盗塁数は6、11、7と決して少なくはないものの、30という数字はまだまだ見えてこない。ただ大型でありながら脚力は申し分なく、昨年は11盗塁で盗塁死は3と成功率も高かったことを考えると、まだまだ伸ばせる余地はある。来シーズン、20盗塁をクリアできれば、一気にトリプルスリー達成も見えてくるだろう。
セ・リーグで佐藤に次いで可能性を感じるのが岡林勇希(中日)だ。昨シーズン打率.291、24盗塁をマークし、最多安打のタイトルも獲得するなど大ブレイク。“2年目のジンクス”が心配された今年も打率、盗塁数は減らしたものの、安打数は2本増やし、2年続けて見事な成績を残して見せた。抜群の脚力を誇り、内野安打も多いだけに打率3割は来年にも達成しそうな雰囲気がある。また盗塁数もスピードは十分だけに、30という数字は現実的な目標と言えるだろう。一方で大きなネックになるのがホームラン数だ。これまで通算ホームランはわずか3本ということを考えると、シーズン30本塁打というのは難しいのが現状だ。