松田宣浩(ソフトバンク‐巨人)をはじめ、多くの選手が現役を引退し、新たな人生のスタート台に立った2023年暮れ。その中から、紆余曲折とも言うべきさまざまな経験をバネに健闘した選手たちを紹介する。
【写真】巨人かソフトバンクか 「現場復帰」に注目が集まるのはこの人
野球賭博関与により、1年間の失格処分を受けながら、復帰3年目にリリーフ陣の柱として復活したのが、高木京介だ。
国学院大から2011年のドラフト4位で巨人入りした高木は、1年目にリリーフで34試合に登板し、2勝0敗1セーブ10ホールド、防御率0.57を記録。左腕投手としてはセ・リーグ新記録の29試合連続登板機会無失点をマークするなど、リーグVと日本一に貢献した。
翌13年も46試合に登板し、3勝0敗6ホールド。15年まで1軍公式戦初登板から139登板機会連続無敗というNPB記録も樹立した。
ところが、16年3月、前年秋に発覚したチームの野球賭博問題に高木も関与していたことが判明し、1年間の失格処分を受けてしまう。
「もう野球をする資格はないと思っていた。私のやった行為は罪が重く、簡単には償えないことは理解している」と反省した高木は、1年後に処分が解けると、考えた末、「何で償うかは野球しかない」と復帰申請書を提出。育成選手として巨人と再契約した。
そして、18年3月に2年ぶりに支配下登録をかち取ると、翌19年には自己最多の55試合に登板。6月14日の日本ハム戦でリリーフに失敗し、連続登板機会無敗記録は「164」で途切れたものの、3勝1敗10ホールドで、チームの5年ぶりVに貢献した。
だが、20年以降は故障の影響で登板数が激減。22年オフに戦力外通告を受け、再び育成契約となるも、今年7月28日に支配下登録され、9月13日の阪神戦で2回を1安打無失点に抑えた。
結果的にこれが現役最後のマウンドとなったが、高木は「自分としてはここまでよくやったと思う」と納得してユニホームを脱ぎ、巨人の球団職員として再出発する。