脱毛サロンの倒産が相次ぐ理由
もう一つ、大島氏が「戦略ミス」と指摘するのが、高出力レーザーを用いた医療脱毛とのセットプランだ。医療脱毛専門クリニックである「じぶんクリニック」と業務提携し、「W脱毛プラン」として大々的に打ち出していたものの、結果的に医療脱毛派とサロン脱毛派のどちらからも敬遠され、急激に顧客が減ったというのが業界内の見方だという。
とはいえ、銀座カラーだけが経営判断を誤ったというわけでもない。帝国データバンクによると、2023年は全国展開の脱毛サロン「シースリー」をはじめ、少なくとも10件のサロンの倒産が判明し、年間最多を更新した。
大島氏によると、この“倒産ドミノ”の背景には、コロナ禍以降に悪循環におちいった業界事情がある。コロナ期間中は感染防止の観点から客足が遠のき、ようやく感染が落ち着いたと思ったら、今度は人々の消費意欲が美容よりも旅行やイベントに向いてしまった。その結果、数の限られた顧客の奪い合いは値下げ競争というチキンレースになり、体力が尽きた企業から姿を消しているのだという。
通っている脱毛サロンが突如つぶれ、支払った料金がパーになる事態は、決して他人ごとではない。消費者が信頼できるサロンを見極める上でのポイントについて、大島氏はこう話す。
「つい値段の安さにそそられる人は多いと思いますが、適正な利益があって初めて適正なサービスを提供できるというのが、資本主義の原則。エステティシャンの時給、店の家賃、脱毛機の償却などを考えれば、1時間の施術で少なくとも1万円はかかりますよ。それより安いプラン内容であれば、このお店大丈夫?と疑問に思ったほうがいいでしょう」