サッカー選手としてこれだけ長い間ピッチに立てない時期がある。にもかかわらず、期待してくれる人もいる。その中で、結果も出せないもどかしさ、リハビリばかりで選手としての時間が削られていくような感覚があった。
いろんなシーンが浮かんできた。同時に、いろんな人に対する申し訳なさで、胸がいっぱいになった。
ずっと期待して支えてくれた家族、これまでのチームメイト、指導者や先輩、後輩。何よりファンやサポーターのみなさん。一人ひとりに「申し訳ありません」と詫びて、「いつかこの人たちに顔向けできるよう、また前を向いてやっていこう、ほかの道で」。
検査を終え、部屋を出ると、ドクターのパソコンの画面上には、右膝の画像が映し出されていた。
「切れてます」と、申し訳なさそうに告げられた。言いづらそうだった。僕の反応は淡々としたものだった。たぶん「はい、そうですね。ありがとうございます」と答えた。「そんなに気を落とさないでください。逆に僕のほうこそ、こんなことになって申し訳ありません」と、僕のほうから伝えた気がする。
絶望的な診断結果をすんなりと冷静に受け入れる僕に、お医者さんは、逆に驚いているようだった。きっと、「なぜ落ち込んでいないんだろう?」と思ったはずだ。