さらに2021年2月には大人気コンテンツへと成長するゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』の稼働が開始。ウマ娘はアニメやリアルイベントなどを含めたメディアミックスコンテンツとして新たな競馬ファン層の開拓に成功した。この構図は1991年に発売された名作競馬ゲーム『ダービースタリオン』が、オグリキャップが火をつけた第2次競馬ブームをさらに押し上げたのとよく似ている。

 この21年の有馬記念のファン投票は、3歳にして天皇賞(秋)を制したエフフォーリアが前年のクロノジェネシスを上回る26万742票を獲得。本番でも見事に1着でゴールした。さらに22年のタイトルホルダーはエフフォーリアを10万票以上も凌駕する36万8304票を得た。

 今年のイクイノックスは34万2637票とタイトルホルダーに及ばなかったが、これは投票期間最終日の12月3日よりも前の11月30日に引退が発表された影響もあっただろう。もし引退発表が1週間遅かったならば、最後の土日の追い込みで40万票に届いていたかもしれない。

 この第3次競馬ブームとも呼べる現象がいつまで続くかは定かではないが、今年の有馬記念で主役となりそうな3歳馬たちや来年のクラシックに臨む現2歳馬たちからイクイノックスに匹敵するような名馬が生まれ、競馬ファンにさらなる楽しみをもたらしてくれることを祈りたい。(文・杉山貴宏)

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