作詞家、ラジオパーソナリティー、コラムニストとして活躍するジェーン・スーさんによるAERA連載「ジェーン・スーの先日、お目に掛かりまして」をお届けします。
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45歳あたりを過ぎて痛感したこと。それは、人生の時間割に「メンテナンス」を入れないとやっていけないということでした。
学生時代の時間割は、ざっくり「食べる」「寝る」「学ぶ」「遊ぶ」くらい。社会人になると「働く」がガッツリ組み込まれ、今までのようにはいかなくなる。だって、24時間のうち3分の1が「働く」に充てられてしまうのだから。残り時間のうち6~8時間は「寝る」に充てるとなると、「学ぶ」や「遊ぶ」は学生時代の半分以下です。
子育て世代は、ここに「育てる」が、介護が必要な家族がいる場合は「介護する」が加わって、ひとつのコマに割く時間はどんどん短くなっていきます。慌ただしい毎日になるのはそのせいでしょう。
で、オーバー45歳。今度はここに「メンテナンス」のコマを組み込まなくては立ち行かなくなります。要はセルフケアです。栄養バランスを考えた食事、適度な運動、人の手を借りたマッサージやエステなど。無理が利かなくなったと感じるのが40歳あたりだとするならば、今までと同じでも、場合によっては無理がたたるのが45歳あたりから。そして、齢50にして新たなコマを投入する必要性を感じたのが先日のことでした。
講演会でお邪魔した山口県。いつもなら前乗りするところを、今回は日帰りにしました。7時半に起きて用意を済ませ、10時の飛行機に乗って山口へ。講演会は14時ごろから。16時すぎに会場をあとにし、17時台の飛行機に乗って19時すぎには羽田に戻っていました。
スケジュールには一切無理がないと思っていました。過去の私なら、体力的になんら問題なく、東京に戻ってから友達とご飯に行くこともできたはず。しかし! 今回はそうはいかなかった。慌ただしい移動はなかったのに、登山帰りのような疲労感。帰宅するなりベッドに倒れこみ、途中何度か目を覚ましたものの、朝まで寝っぱなしでした。「寝る」にこんなに時間を割いたのは学生時代ぶり。