自民党の最大派閥、清和政策研究会(安倍派)の政治資金パーティーによる裏金作りの疑惑で、同派の松野博一官房長官が直近5年間で派閥から1千万円を超える裏金のキックバックを受け、政治資金収支報告書に記載していない疑いがあると報じられた。東京地検特捜部による関係者への聴取も進んでおり、安倍派議員の秘書らに話を聞くと、危機感が広がっているという。13日には臨時国会が終了する。特捜部はその後、議員本人からも事情を聴く方針だ。検察はどのクラスの議員までの立件を視野に入れているのか。
【写真】松野官房長官の次はだれだ? 安倍派の政治資金パーティーで紹介される幹部たち
12月6日朝、東京地検の関係する施設に姿を見せたのは、安倍派の副大臣の事務所関係者。検察の取り調べ要請を受けて出向いたという。
安倍派では、派閥のパーティー券のノルマは、新人議員なら「30枚、60万円分」。幹部クラスになると100枚単位に増えるという。
安倍派のベテラン秘書がこう話す。
「ノルマ以上売れた分は、派閥から議員側にキックバックで戻されます。これはどこの派閥も同じです。安倍派は、たいていの議員は政治資金収支報告書に記載していない裏金になっているとみられており、特捜部が調べているようです。すでに会計責任者、担当者は特捜部から何度も呼ばれています」
議員の遊び代に消えるケースも
そして、安倍派の衆院議員の一人は、
「うちは調べのときに、帳簿や名簿など政治資金収支報告書などで公開されていないものも特捜部に出してしまって、一気に捜査が進展していると幹部から聞かされました」
と明かした。
前出の安倍派のベテラン秘書は、
「いつ特捜部に呼ばれるかびくびくしています。キックバック分の金額はパーティー券10枚足らずだが、政治資金収支報告書には記載していないので、裏金になっています。うちの場合の使途は、議員が選挙用に蓄えていました。なかには、キックバック分が数十枚分に及び、100万円を超す議員もいます。それが飲み食いなど遊び代に消えているケースもあります。本当のことをしゃべったらアウトだ。秘書のクビどころか、議員もバッジが飛んでしまう」
と深刻そうに語るのだ。