酒井若菜さん(撮影/写真映像部・佐藤創紀)

「どうせタレント本でしょ?」

 しかし、その一方で、休業期間中に作家としての活動もスタート。キャリアの幅を広げていったが、当時のことをこう振り返る。

「休業前に、ブログを読んだ出版社の方からオファーがあったんです。初めはブログをまとめたものを出版する企画だったのですが、まだブログを始めたばかりということもあって、だったらイチから小説を書きませんかって話になりました。そのときは棚上げになっていたのですが、休業することになって、書くなら今しかないと思い、執筆を始めました」

 復帰後も書き続け、08年に『こぼれる』(春日出版、18年にキノブックスから文庫版を出版)で小説家としてデビューした。その後もエッセー集を出したり、WEBマガジン「&Q」で編集長を務めたりなど、作家としての活動を続けている。

 とはいえ、出版界もまた芸能界とは近くて遠い世界。当時は、グラビアアイドル出身の酒井さんが作家になることに批判的な反応をする人も少なくなったという。

「『女優に何が書けるんだ』『どうせタレント本でしょ?』とか言われましたね。誰に言われたか? 嫌な編集者とかにです(笑)。出版の世界と俳優の世界の両方から風当たりが強くて。やっぱり新しいことをやろうとすると、ジャンルにかかわらずけん制されるんだなと思いました」

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