生きているのか死んでいるのかわからない
なぜそこまでして俳優になりたかったのだろうか。
「一番古い記憶でいうと、幼稚園のお遊戯会で白雪姫を演じたときに、『やっぱりこれだ!』と思ったんです。やっぱりってことはその前からなりたかった、ということなんでしょうけど、正確にいつからかはわからなくて。自覚したのは幼稚園生のときだったと思います。そのとき白雪姫と、7人の小人の一人の2役を演じたのですが、その演じ分けが楽しかったのを覚えています」
小さい役でもコツコツと俳優の経験を積み重ねた酒井さんは、2002年に宮藤官九郎さん脚本のドラマ「木更津キャッツアイ」のモー子役でブレークする。それ以降も「マンハッタンラブストーリー」などの話題作に出演を果たした。
しかし、順調にキャリアを重ねていた矢先、05年に体調不良により、約10カ月の休業を余儀なくされる。
「休業した当初は、『いったん休んでまたリスタートしよう』と思っていたんですが、休業明けのほうが苦しかったですね。それまではヒロイン役をいただけていたのに、急に名もない役しかもらえなくなったり、それまで良くしてくださっていたスタッフの方と距離ができてしまったり……。ここからまた頑張ろうというときにくじかれてしまった感じがあったので、復帰してからの数年間は、生きてるんだか死んでるんだかわからなかったし、それまでで一番しんどい時期でした」