エンゼルス球場の大谷の写真パネルが少しずつ剥がされていく瞬間(写真/長野美穂)
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 大谷翔平本人のインスタグラムに「LA」のロゴがアップされ、ドジャース球団との契約が発表されたのが、米国西海岸時間12月9日の正午過ぎ。その3時間後、アナハイムのエンゼルス球場で目撃した光景とは?

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「まるで家族のひとりを失ったような気持ちだ」

 アナハイム在住のセバスチャン・ロメロ(23)はそう言った。

 彼が立っている目の前で、フォークリフトの先のクレーン部分に乗ったスタッフが、エンゼルス球場の壁面に貼られた大谷翔平の巨大な写真パネルを剥がしていく。

 ドジャースへの移籍発表後、わずか3時間足らずで、大谷の痕跡が球場壁面から早くも消されようとしていた。

 幼い頃から父に連れられてこの球場に通いつめたロメロは、大谷の顔写真の右の耳部分が剥がされるのを見つめながら、「エンゼルスファンとしての自分の人生の中で、今日が一番苦しい」とつぶやいた。

 昼過ぎに起きて、友人たちからのテキストメッセージで大谷の正式移籍を知った。「シャワーを浴びながら泣いたよ」

「チームを売れ!」のメッセージ

エンゼルスファンのセバスチャン・ロメロと「チームを売れ!」と書かれたサイン(写真/長野美穂)

 彼の手には「チームを売れ!アート!」と赤い手書き文字で書かれたサインが握られている。球団オーナーのアート・モレノへのメッセージだ。

「アンソニー・レンドンやマイク・トラウトが次々負傷して試合に出場できない中、チームを勝たせるために大谷ひとりに重圧がかかり、結果、彼を満身創痍にさせてしまった。そうなる前に、なぜもっと早く投手陣やマイナーリーグを補強し、堅実に組織を構築しなかったのか。責任はひとえにオーナーのアートにある」

 行き場のない怒りをぶつけるように、ロメロはそう言った。

 幼い頃から高校卒業まで真剣に野球に打ち込み、現在はディズニーランドで働く彼は、煌びやかなロサンゼルスではなく、アナハイムにあるチームをあえて選んで6年間を過ごした大谷を誇りに感じていた。

 何度か球場で大谷のホームランを生で見るたびに、いつかこの地元チームがワールドシリーズの優勝リングを獲得する光景を何度も夢見てきた。

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「隣町の別の金持ちの元に行ってしまったような…」