奥山佳恵さん(撮影/写真映像部・佐藤創紀)
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 ダウン症の子ども、美良生(みらい)くんを育てる俳優の奥山佳恵さん(49)。【中編】では、初めは受け入れてもらえなかった義父との出来事や、新型出生前診断への疑問などについて語ってもらった。【後編】では、美良生くんが通常学級で学ぶ様子や、子どもたちの将来への思いなどについて聞いた。

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※【中編】<ダウン症児を育てる奥山佳恵さんが「新型出生前診断」に抱く違和感 「誰も幸せになっていない」>より続く

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 美良生くんは現在小学6年生。特別支援学校や支援学級ではなく、通常学級で学んでいる。しかしこれは、いい意味で奥山さんの“想定外”だった。美良生くんは障害児支援型の幼稚園に通っていたこともあり、小学校で通常学級に入れる選択肢があることを知らなかったという。

「美良生が年長のときの就学相談で、特別支援学校か支援学級の2択を示されたんです。当時は『そういうものか』と当たり前にどちらかに進むものと思っていました」

 しかし、就学相談を終えたあと、インクルーシブ教育を推奨する専門家たちと話をする機会があり、障害がある子どもでも小学校の通常学級に進学できるということを知ったのだという。

「提示されたのは2択だったけれども、それだけじゃなかったんだと知りました。でも、学校は学習する場だし、みんなと一緒に学ぶことができない、字も書けない子どもが行っては迷惑になると思ってすごく躊躇しました。でも、その先生方は、障害がある子がいない教室は通常学級とはいえないとまで言ってくださったんです。それでもやっぱりお邪魔になるんじゃないかという懸念はあったのですが、先生方の言葉を信じて進学を決めました」

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成長するにつれて切なくなる場面も…