最も気になるのは、ビシエドの思いだ。中日を取材するスポーツ紙記者はこう語る。
「外国人選手はシーズンが終わるとすぐに帰国するケースが多いなか、ビシエドはオフの球団納会やファンフェスタにも参加する。家族で暮らす名古屋が気に入っており、中日への愛着は強い。選手たちの人望も厚く、その存在はグラウンド上で残す数字以上の影響力があります。外国人選手たちの面倒見がよく、悩みなどにも耳を傾けてアドバイスする。これほど中日ファンに愛された助っ人は過去にいなかったでしょう。ただ、一人の野球人として試合に出たい思いは当然あるはず。一塁のレギュラーを固定できていないチームは多いですから、条件次第で需要はあるでしょう。中島は故障のリスクを抱えていることから、球団は来季もビシエドを必要な戦力と考えていると思いますが、本人が他球団への移籍を志願するということになれば状況が変わってくる」
思えば、中田も昨オフに巨人と年俸3億円の3年契約を結んだが、1年ごとに契約の見直し、破棄ができる「オプトアウト」を行使して今オフに自由契約で退団。出場機会を求め、中日に入団した。かつてビシエドを指導した球団OBは「一年でも長く中日でプレーしたいのでは。ビシエドが自分から退団を決断することは考えづらい」と予測するが、来日9年目の来季もドラゴンズブルーのユニホームに袖を通すか。功労者の動向が注目される。
(今川秀悟)