AERA 2023年12月11日号より

 一方、年収が130万円を突破して配偶者の扶養から外れてしまった場合の試算が「試算(2)」だ。

 年収が129万円にとどまったパターンでは、配偶者の扶養家族とみなされるため、税金と雇用保険の負担だけで済む。手取りは123万6860円だ。

 年収130万円ぴったりでパート・アルバイト先の社会保険に加入したパターンでは、社会保険料も天引きされて、手取りは107万6508円に減る。

 とはいえ、将来にもらえる年金は1年につき「勤続年数×約7200円」の増額となり、日額2447円の出産手当金・傷病手当金、障害・遺族厚生年金の資格もついてくる。

 同じく年収130万円でも、勤務先の従業員数が少ないなどの理由により条件を満たさず、社会保険への加入義務が生じなかったパターンはどうか?

小さな会社は自己負担

 自分で国民年金・国民健康保険に入ることになり、手取りは96万5272円まで減る。保険料が原則労使折半の社会保険と違い、全額を自己負担することになるので手取りの目減りが激しい。しかも厚生年金のように収入に比例して年金額が増える制度は無いし(配偶者の扶養に入っていたときと年金受取額が変わらない)、各種手当もない。

編集部注:国民年金、国民健康保険は世帯主が負担したとして、主な稼ぎ手(夫または妻)の所得控除に算入することもできる(金融ジャーナリスト・大西洋平/編集部・中島晶子)

AERA 2023年12月11日号より抜粋

著者プロフィールを見る
中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

中島晶子の記事一覧はこちら
著者プロフィールを見る
大西洋平

大西洋平

出版社勤務などを経て1995年に独立し、フリーのジャーナリストとして「AERA」「週刊ダイヤモンド」、「プレジデント」、などの一般雑誌で執筆中。識者・著名人や上場企業トップのインタビューも多数手掛け、金融・経済からエレクトロニクス、メカトロニクス、IT、エンタメ、再生可能エネルギー、さらには介護まで、幅広い領域で取材活動を行っている。

大西洋平の記事一覧はこちら