パート年収が低くても年金や健保への加入義務拡大

 配偶者の扶養に入っているパート主婦(主夫)は、税金や社会保険(公的年金・健康保険・介護保険)の保険料の負担を考え、7段階ある「年収の壁」を意識しながら働く場合も多い。AERA2023年12月11日号より。

【試算】106万円、130万円の壁越えで手取りはいくら減るか?結果はこちら

*  *  *

 さて、「年収の壁」を越えたらどのくらい手取りが変わるのか。今回は、106万円、130万円の壁の試算を社会保険労務士の佐藤麻衣子さんにお願いした。

AERA 2023年12月11日号より

 106万円の壁を越えた場合の試算結果が「試算(1)」だ。時給は1113円(東京都の最低賃金)と仮定し、3パターンで試算している。

「週18時間勤務」は参考、「週19時間勤務」は“月収8万8千円”の条件に当てはまるが“週20時間勤務”の条件を満たさない=社会保険への加入を免れる。「週20時間勤務」だと、すべての条件を満たすので社会保険に加入することになる。

社会保険で増えるお金

 週18時間勤務のパターンは年収104万1768円なら103万2768円が手元に入る。週19時間勤務のパターンは年収109万9644円で108万1844円が手取り。そして週20時間勤務のパターンは年収115万7520円から社会保険料を引かれることで、96万8469円しか残らない。

「手取りが減るのは悲しいですが、社会保険への加入で得られるメリットもあります」

 と佐藤さんは説く。年金は1年につき「勤続年数×約6400円」、増える。日額2180円の出産手当金・傷病手当金をもらえる資格が得られる。障害・遺族厚生年金の受給資格も。

著者プロフィールを見る
中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

中島晶子の記事一覧はこちら
著者プロフィールを見る
大西洋平

大西洋平

出版社勤務などを経て1995年に独立し、フリーのジャーナリストとして「AERA」「週刊ダイヤモンド」、「プレジデント」、などの一般雑誌で執筆中。識者・著名人や上場企業トップのインタビューも多数手掛け、金融・経済からエレクトロニクス、メカトロニクス、IT、エンタメ、再生可能エネルギー、さらには介護まで、幅広い領域で取材活動を行っている。

大西洋平の記事一覧はこちら
次のページ