円山公園のヤマトゴキブリ=西野さん提供

円山公園で爆発的に増えた理由

 屋内で目にするゴキブリと言えば、本州以南では主にクロゴキブリとチャバネゴキブリである。

 クロゴキブリは体長3~4センチほどで、油を塗ったような光沢が特徴。チャバネゴキブリは茶色く、大きさはクロゴキブリの半分ほどだ。

 どちらも暖かい場所を好み、古代に中国大陸との往来で日本に侵入し、定着したといわれている。西野さんによると、冷涼な北海道ではどちらのゴキブリも数は少なく、目にすることはめったにないという。

 一方、ヤマトゴキブリは日本の土着種で、主に屋外をすみかとする。クロゴキブリの3分の2ほどのサイズで、色はつやを消した黒といった感じだ。

 世界には数千種のゴキブリが生息しているが、そのほとんどが熱帯や亜熱帯の気候に適応している。ところが、ヤマトゴキブリだけは例外で、冷涼な気候を好むのだという。そのため、沖縄には分布していない。

 そして、かつてヤマトゴキブリは本州を中心に広く分布していたが、最近は生息域を北日本に狭めている。地球温暖化の影響や、体の大きなクロゴキブリに追いやられたため、と見られている。
 

屋外に住むヤマトゴキブリ=西野さん提供

 そんなヤマトゴキブリが、なぜ円山公園に定着しているのか。

 西野さんによると、円山地区は道内でも比較的早い時期に入植が始まった地域。東北地方から運んだ建材に、ヤマトゴキブリの卵鞘(らんしょう)が付着して持ち込まれたのではないかと考えられているという。

 現在、円山公園となっている場所は、北海道開拓時代、「円山養樹園」という樹木試験場だった。その名残で、公園内には樹齢100年を超える大木が数多く見られる。

「古い木が多いので、昼間は木肌の割れ目やうろに、ヤマトゴキブリは潜んでいます。それが夜な夜な出てきて、散策した人が落とした食べ物や食べ残しを食料にしている」
 

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公園から出られないゴキブリたち