今回の問題で球界内から驚きの声が聞かれた共通点として、1軍で絶対的な主力とはいえない安楽がパワハラ行為に及んでいたことだった。21年から3年連続で50試合以上に登板し、今季は57試合登板で3勝2敗10ホールド、防御率3.04をマークしたが投球内容を見ると決して安定しているわけではない。注意する人間がいない大ベテランならともかく、安楽はまだ27歳と若い。グラウンド外の常軌を逸した言動、行動に注意できる人間が周りにいなかったのか――。
他球団の編成担当は、「今回の一件は対岸の火事ではない」と厳しい表情を浮かべる。
「良好に見える関係でも、SNSの普及で裏では何が起きているか確認できない部分がある。昔より先輩、後輩の上下関係が緩やかになった分、先輩が間違った行動を注意しにくくなっている空気があるかもしれない。パワハラを受けたら我慢せず球団フロントに伝えることができる環境づくりを徹底する必要があります」
安楽は猛省しているという。ただ、自身の愚行で失った代償はあまりにも大きい。安楽個人、楽天球団内の問題と捉えず、球界全体で今回の事態を重く受け止めなければいけない。
(今川秀悟)