楽天を自由契約になった安楽

 ショッキングなニュースが流れた。楽天・安楽智大が複数のチームメートにパワハラ行為をしていたことが複数のメディアで11月下旬、一斉に報じられた。森井誠之球団社長は仙台市内で30日に記者会見を開き、安楽のパワハラ行為を認めたうえで、「契約保留選手名簿」から外して自由契約となった。

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 球団の発表によると、在籍する選手やコーチら計137人にアンケートを実施。92%が回答し、被害を受けたのは約10人、ハラスメント行為を見聞きしたのは約40人に上ったという。具体的には、公式戦のロッカールームで倒立させたチームメートの下着を脱がすなどして下半身を露出させた、「バカ」「アホ」などの暴言をチームメートに浴びせた、忘れ物やミスをしたチームメートから「罰金」と称して現金を徴収したことなどがパワハラ行為として確認された。

 楽天を取材する記者は憤りを口にする。

「倒立させて下半身を露出させるなんてパワハラの一言では済まされないですよ。被害に遭った選手はトラウマになってもおかしくない。こんな異常な行為が止められない環境で優勝なんかできるわけがない。今回の件で一番悪いのは安楽ですが、退団することで解決したというわけではない。問題はもっと根深いですよ」

 かつては、チームで実績十分の主力選手が横柄な態度を取って、若手選手にパワハラまがいの行為に及ぶことを見聞きしたことは何度もあった。パ・リーグ球団のOBは、「理不尽なパワハラは日常的にありましたよ。夜中の3時に『酒を持ってこい』と後輩を宿舎の部屋に呼びつけたり、理不尽な理由で朝まで電話で延々と説教したり。今の時代では通用しないですけどね」と漏らす。

謝罪する球団関係者
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パワハラを黙認する空気