優勝の瞬間には白い風船が宙を舞った(撮影/上田耕司)

「タイガースタジアム」では野球部をつくっており、オーナーの哲郎さんが監督を務めている。部員の1人である斎藤真吾さん(46)はこう話す。

「感無量です。もの心付いたときから阪神の帽子をかぶって少年野球をやっていました。バースがいたころからずっとファンです。今年は岡田監督がうまく選手を使っていたので、安心して見ていられました。調子が悪い選手をカバーする選手がいたことも大きいと思います。たとえば大山悠輔がダメなら佐藤輝明がカバーして、近本光司がケガした時には森下がいてくれた。CSはこのままの勢いで行くでしょう。というか、行ってくれないと困る」

 夫婦で応援に来ている人もいた。豊島区から来た40代の夫婦は、夫が阪神ファンだという。

「私はファンというわけではないのですが、夫が『来たい』『優勝したら泣いてしまう』と言うので一緒に来ました。きょうは夫の12月のバースデーの前倒しプレゼントですね」

 店に集ったそれぞれの人が、18年間の思いを抱えながら、歓喜の美酒に酔いしれていた。阪神のネクタイをした男性は「きょうは朝まで飲むつもりです。帰りたくないです」と話したが、店内の盛り上がりはしばらく収まりそうになかった。

 店の外にでると、新橋の街はいつもと変わらない様子だった。だが、ガールズバーの呼び込みをしていた20代の女性はこんな“変化”を口にした。

「今日は阪神のユニフォームを着た人たちをちらほら見かけましたね。近くで外飲みをしていた人たちはパブリックビューイングを見て『ワーッ』と歓声を上げて盛り上がってましたよ」

 大阪のような“騒ぎ”とはならないが、東京の阪神ファンにとっても、熱い一夜となった。

(AERA dot.編集部・上田耕司)

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