妻 横山恵理[31]作業療法士 Mukuiro 代表
よこやま・えり◆1992年、長野県出身。名古屋大学大学院医学系研究科修了後、作業療法士として豊田市こども発達センターなどに勤務。出産を機に塩尻市に移り、2021年から生産者と子育て世帯をつなげる個人事業「Mukuiro」を、今年から市民団体「みんなのえんがわ」の活動も行う
愛知県出身ではない2人が愛知で出会い、いつか長野に帰りたいと思っていた私より先に夫が長野で働きだし、追って私も帰郷して子どもを2人産み、今はお互い地域に根差したことをしている、と。考えてみるとちょっと不思議ですが、今に至るために自然と導き合ってきた気がします。
4年前に、夫が塩尻市の地域おこし協力隊になると聞いたときは経済的な不安がよぎりました。NPO法人を立ち上げるときも同じで、夫に大丈夫なのかを聞いたら、どうして僕がやりたいことを聞いてくれないんだと嘆かれ……。
そのとき私は目が開き、母親は子どもが3歳になるまでは育児に専念すべきだという義務的な考えから解放されました。そして息子が1歳4カ月のときに作業療法士の仕事を再開し、娘を産んだ後には個人事業を本格化。今年からは友達と市民活動も始動しました。お金は死なない程度に生きられる分だけあれば十分(笑)。地域における顔の見える人とのつながりこそ、人生を豊かにすると思っています。
(構成・茅島奈緒深)
※AERA 2023年12月11日号