こまめな心がけが肝心
逆に、できていない部分は、ネガティブに責めるのではなく、できるだけポジティブに変換して伝える。例えばプレゼンの準備不足により失敗を招いてしまったとする。その際、「だからもっと練習しろって言ったのに」「何でできなかったの?」などと聞くよりも、「もし、この経験を次回に生かすとしたら、どんな学びがありそう?」など、失敗も成長の機会という流れに持っていく。前出の竹内さんもこう言う。
「失敗した事実は変えられなくても、解釈は変えられます。ネガティブな状況にある相手の意識を、ポジティブな方向にリードすることで、心理的な安心感を与えることができます」
三つ目が、行動に対して、改善点や評価を伝えるフィードバックをこまめにすること。フィードバックによって、仕事をする上でのモチベーションの元となる成長意欲が刺激される。「この環境では成長できない」と感じたら、すぐに離職することも考えやすい世代だからこそ、こまめな声がけが肝心だ。例えば1日数分でも部下の様子を観察し、良い行動をフィードバックするなども有効だという。有本さんはこう助言する。
「いいね文化が当たり前のSNSで育ってきている分、コミュニケーションは双方向なのが当たり前の世代で、ほったらかしはダメ。まずは1日5分でもいいので、話す機会を持てるといいでしょう」
(フリーランス記者・松岡かすみ)
※AERA 2023年12月11日号より抜粋