会見する秋篠宮さま=宮内庁提供

 また、西村長官と秋篠宮さまの説明についても、煙に巻かれた感があると話す。

 それぞれが宮邸の改修について、増築部分の約66%が皇嗣職職員の事務部分、約29%が老朽化した公室部分であり、住まいとなる私室部分で広がったのは約5%の72平方メートルだと説明した。72平方メートルが「ほとんど増加していない」面積かどうかは別として、山下さんは肝心な点を説明していないと指摘する。

「これは秋篠宮家の本邸に限っての話のようです。分室に佳子内親王殿下の私室部分があるわけですから、本来そこの面積もプラスしないと、増えた私室部分の面積はわかりません」
 

 また、西村長官が、誕生日会見に先立つ定例会見で宮邸の改修工事について触れたのは、記者会見にあたって事前に提出された質問項目に含まれていたために「火消し」を狙ったものであり、質問項目に入っていなければそのまま説明されなかった、と見られる。
 

必要ならば説明すればいい

 だが、山下さんは気になることがある。

 秋篠宮さまはこれまで、皇室の慣例・慣習にとらわれない発言をしてきた。

 小室眞子さん結婚問題でもそうだった。「国民の祝福を得られない」として結婚の儀式などは行わず、眞子さんに対して皇族として結婚することを許さなかった。眞子さんと小室さんが都内のホテルで開いた結婚会見についても、

「一方向のものではなくて双方向での会見という形にしてほしかった」

 と述べている。

秋篠宮殿下のご性格を考えると、意図的に隠すようなことはなさらないと思っています。ひょっとすると殿下ご自身も周辺施設を含めた工事の全体像を把握なさっていないのかもしれません」(山下さん)

 今回の改修工事は、海外の賓客を失礼なく接遇するための整備も目的のひとつだ。改修工事のやり取りは、家のことを取り仕切らなければならない紀子さまに自然と集中してしまったという声もある。

 それでも山下さんは、

「皇嗣という重い立場にいらっしゃるわけですから、国として必要だと判断するなら、国民にきちんと説明をした上で工事をするべきです」

 と指摘する。
 

 いまだ着地点が見えない、宮邸の改修工事問題。歯切れの悪い説明が続く様子は、眞子さんの結婚をめぐる問題を思い起こさせる。国民が納得いく形で「決着」するのはいつだろうか。

(AERA dot.編集部・永井貴子)