ベトナムから中継を担当したときの武内さん(写真=本人提供)

有働アナとライブでばったり遭遇

 その番組とは、19年から放送している「ごごカフェ」(NHK第1、担当開始当時は「武内陶子のごごラジ!」)のことだ。現在、武内さんはパーソナリティーとして月~水曜を担当している。1回の放送が3時間半。途中、音楽やニュースの時間を挟むが、それ以外は武内さんが話さなければ番組は成立しない。そのため、最初は「3日でネタが枯れ果てる」と思っていたそう。しかし、いざ取り組んでみると話題が尽きることがなかったのだという。

「皆さんからお手紙をいただくのですが、どんな話にも自分の経験で応えることができるんです。『あ、こんなことが私にもあった』『そういえばこんなことも』と頭からするするするって」

アナウンサー」という肩書では「手に負えない」(武内さん)のがラジオなのだとか。

「アナウンサーって自分のことを話すってイメージが私自身にもないし、聴いている皆さんにもないと思うんです。だから、ラジオでは『パーソナリティー』として、私は丸裸で自分のことも話すし、みんなを受け止めるし、また返していく。そんな仕事をしているうちに、誰かの言葉を伝えるアナウンサーという仕事ではなくて、『自分自身の言葉で伝える側に行くべきなんじゃないかな』と思ったんです」

 NHKの退職を周囲の人はどのように受け止めたのだろうか。気になるのは、武内さんの同期で、大学の後輩でもあるフリーアナウンサーの有働由美子さんの反応だ。有働さんは武内さんよりも早く、18年にNHKを退職した。武内さんがNHKを辞めることを伝えたのは、意外な場所だった。

「偶然なのですが、退職を決めたあとに、とあるアーティストのライブでばったり会ったんです。有働が辞めてから一回も会ったことがなかったのに。それで、お互い見つけるなり『有働!』『陶ちゃん!』って(笑)。辞めることは有働には言ってなかったんですけど、共通の友人からもうすでに伝わっていて、有働に『辞めるんやってな?』って聞かれたので、『せやねん!』『もう楽になったやろー?』『せやなー!』って人ごみにもまれながら声張り上げて(笑)。最後は『またな!』って別れました」

暮らしとモノ班 for promotion
大谷翔平選手の好感度の高さに企業もメロメロ!どんな企業と契約している?
次のページ
有働アナと「二人は受からへんよな」