アメリカはベトナム、アフガニスタン、イラク、セルビア、シリア内戦での反徒支援と、自国にとっても有害無益な軍事行動を繰り返してきた。アメリカがイランと戦わせるのに育てた猛犬サダム・フセインがクエイトにかみついたのを捉えた湾岸戦争と今回のウクライナ支援だけが例外と言えよう。
もしアメリカが中国と戦い長期戦で巨額の浪費の末にまた撤退、となっては世界最大の対外純債権国でもっぱらアメリカに融資している日本にとっても大災厄だ。アメリカとともに戦うよりは、戦争をさせないように努力するのが、真の安全保障政策だろう。
「台湾有事」で日本は大損害
オースティンアメリカ国防長官は2023年6月3日「台湾有事は迫っているわけではなく必然でもない」とシンガポールでの東アジア安全保障会議の講演で語ったが、日本にとっても中国との戦争は何とか避けるべき事態だ。
米中2大大国が戦争をする事態になれば、日本が「トマホーク」買ったり国産の「12式地対艦誘導弾能力向上型(射程1000ないし1500㎞)」を持っても、それは微々たる戦力にすぎず、戦争が始まって後に反撃しても抑止力にならない。
米中両軍は対地ミサイルや航空機で攻撃し合い、まずは沖縄県の嘉手納、山口県の岩国、東京都の横田、青森県の三沢の航空基地と、神奈川県の横須賀、長崎県の佐世保の軍艦が第1優先目標として狙われるだろう。アメリカ軍が航空機を分散配置しているなら、自衛隊の飛行場と民間空港も目標になろう。
当初は純粋の軍事施設を狙うだろうが、その後は橋や鉄道、道路の分岐点、商港などの交通の要衝や発電所、石油タンク、ガスタンク、工場など准軍事施設を破壊し継戦能力の弱体化を図るのが定石だろう。そうなれば、民間人の犠牲も増える。