アメリカ軍は12月17日からイラク各地に猛爆撃を行ったが、査察がほぼ終わっていたのに3日間も猛爆撃したのは不可解だった。ビル・クリントン大統領(民主党)がホワイトハウスの書庫で実習生と不倫をしていたことを弾劾裁判にかけるか否かを決める下院の審議は17日に行う予定だったから、共和党は「国民の目をそらすために爆撃した」と非難した。

 2001年に大統領になったジョージ・W・ブッシュ氏は、同年9月11日に発生した大規模テロ事件の報復にアフガニスタン攻撃を始めると同時に湾岸戦争後もイラクに残ったサダム・フセイン政権を撃滅して父を凌ぐ功績を上げようとしたようで、攻撃の口実を求め、就任直後からイラクがなお大量破壊兵器を所有しているとの情報収集に努めた。

 怪しげなイラク人亡命者の偽情報に飛びついた2002年秋からイラク攻撃を公言してペルシャ湾岸に兵力を送り、国連に「イラクが大量破壊兵器を廃棄し検証に協力する義務に違反している」との非難決議を求め、安保理決議1441が採択された。そのためイラクは査察団を受け入れ02年11月27日から再査察が行われた。

 2003年3月7日、安保理で査察団の報告が行われた。核兵器についてはアメリカが怪しいと言う地点すべてを含む147か所で247回の査察を行ったが「核に関する活動が再開された証拠はない。97年に解体は済んでいる」との報告があり、生物、化学兵器については731回の査察を行ったがアメリカ政府が主張した兵器備蓄や活動の証拠は発見できなかった。イラクの申告に虚偽があったり協力をしなかったという報告もなかった。

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国連をふみにじりイラクを攻撃