海軍も、第7艦隊の巡洋艦、駆逐艦はアメリカ空母と海兵隊を運ぶ揚陸艦の護衛が任務で、日本の商船を守るわけではない。

 日本が守られているというのはただ一つ「核の傘」だ。しかしそれは日本の核武装を阻止することを第一の目的としていたNPT(核拡散防止条約)を冷戦さなかのアメリカとソ連が協力して作った結果であって、傘を持たせず自分の傘に入れてやるから有り難く思えというような形だ。

 もし、日本が攻撃を受けた場合、アメリカが核で反撃すれば自国も核攻撃される可能性があり、それを避ける状況も考えられる。日本にしっかり防衛しろとアメリカ製兵器の購入を求めるが、核を持つことは断固阻止するのがアメリカの一貫した政策だ。

 日本は1972年9月の「日中共同声明」、アメリカは79年1月の「米中共同コミュニケ」で中国と国交を樹立、日米とも、中華人民共和国政府が唯一の合法政府であるとの中国の立場を、日本は「深く理解し尊重」、アメリカは「認識(Acknowledge)」するとしている。中国と外交関係を結んでいる181もの国は中国が一つであることを認めているから、日本が「日中平和友好条約」を破棄する突飛な行動をするとは思えない。もしアメリカが武力を行使して台湾を分離独立させようとすれば、ウクライナにおけるロシアと同じ立場になり、「法と秩序」は吹き飛ぶことになる。

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アメリカが国際法に違反したとき