このため安保理はアメリカ、イギリスが求めた武力行使容認決議を当然行わなかった。フランスのドミニク・ド・ビルパン外相は「それでもまだ怪しいと思うなら査察を続ければよい。武力行使は不必要だ」との演説を行い、満場の拍手を得た。

 これに対しブッシュ大統領は「アメリカが安全保障に必要な行動を取るのに国連の許可を得る必要はない」と、国連を踏みにじる捨てぜりふを吐いて軍に攻撃を命じ、イギリスもそれに加わった。

 国連憲章は武力行使を受けた場合の自衛(第51条)か、安保理が容認した場合(42条)以外に武力行使はできないことを定めており、アメリカ、イギリスとそれに追随したオーストラリア、ポーランド(工兵隊)のイラク侵攻は違法と考えられる。

 この戦争によるアメリカ軍の死者は約4500人、従軍した警備会社員が1000人以上と見られる。イラクの民間人の死者は11万5000人と、アメリカのブルッキングス研究所は推定している。また、この戦争中約7000人がイラクのアブグレイブ刑務所に収容されてアメリカ軍による拷問、虐待を受け、CIAは世界各地でイスラム過激派のテロリストらしい者779人を拉致してキューバのグアンタナモ海軍基地の檻に入れて拷問し、裁判もせずに閉じ込めていた。こんな「法と秩序」に反する行為を知りながら「共通の価値観」を抱く日本人が多いとは思えない。

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アメリカの戦争を止めるのが日本の国益