1975年に東京・新宿のホテルで開かれた自民党主催の「6万円パーティー」。当時の三木武夫首相(中央)、中曽根康弘幹事長らが出席。財界人や中小企業経営者ら2100人規模となった

 だが今回、東京地検特捜部はかなり本腰で捜査を進めているようだ。

 現在、法務副大臣を更迭された柿沢未途・衆院議員の公職選挙法違反事件にも捜査のメスが入っているが、

「柿沢氏の関係者が特捜部に呼ばれたら、『その話はこのへんで』と検察は言い、『政治資金パーティーのことを教えてくれ』と言っているようです。特捜部は派閥のパーティー券の捜査のために、基礎となる事情を集めているようです」(前出・岸田派の国会議員)

 支持率が急落し、綱渡り状態が続く岸田首相だが、今回は岸田派の会長でもある岸田首相自身が「被告発人」として刑事告発されており、「嫌疑」や「監督責任」が問われてピンチにもなりかねない。

岸田首相の解散プランへの影響は

「岸田首相の想定には、年明けの通常国会で冒頭解散というプランもあるはず。しかし、パーティー券の問題が事件になれば、さらに支持率が下がってとても解散はできないでしょう。そうなると、岸田首相が看板では選挙は勝てないと一気に“岸田おろし”の流れができかねない。岸田首相もパーティー券の疑惑にはかなりナーバスになっています」

 自民党の閣僚経験者はそう話し、危惧する。

 刑事告発した上脇教授は、

「派閥のトップというのは大物議員であり、政治資金の収支を誰よりもきちんと報告しなければならない立場です。それが5派閥に4千万円もの不記載、虚偽記載の可能性があるというのは看過できません。自民党では、政治資金の報告義務の軽視が蔓延(まんえん)しているように感じます。告発したのは私やメディアが発見できたものだけで、おそらく氷山の一角でしょう。4千万円は派閥の裏金になっている可能性も十分考えられるので、特捜部は政治を恐れずに捜査してほしい」

 と指摘している。

 本領発揮した特捜部を見せてほしいところだ。

(AERA dot.編集部・今西憲之)

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