2018年11月に東京都内で開かれた自民党参院議員の政治資金パーティー。立食形式で多くの支援者が詰めかけた

「それぞれ派閥ごとに強い分野があります。教育だとか、建設、農業とかですね。そういうところにかかわる人たちは公共事業にも参入していて、政治力をすごく気にしています。秘書から『現金だと助かるな』とささやかれたら振り込みはやめて、現金を持参するなど“あうん”の呼吸でやってくれます。相手方によっては、政治献金として処理せず、うまくやってくれる企業も結構ありますから表に出ません。そして、一度現金になるとずっと続きますから助かるのです」

 現金の使い道については、

「総選挙や自民党総裁選もあり、選挙には表に出せないカネも必要。派閥のパーティー券が一番、裏金をつくりやすいのです。派閥で1回パーティーをやれば以前は数千万円が裏金だったんじゃないですか。特に総裁選はカネが勝敗に直結しますから、裏金なしではやっていけないです」

 と語った。

5派閥で4千万円は桁が一つ違うのでは

 Aさんはさらに踏み込んだ話として、

「政治というのは、相手のメンツを立てる、トラブルは未然に抑える、といったことが大事。冠婚葬祭も含め、そういったことのためにはカネがかかることがあるので、保険として裏金を作っておくということ。それがないと派閥をまわしていけないのが現実です。私のボスの派閥は、事務所に行けば金庫に1千万円以上の現金がありました。ただ、今は派閥の事務経費用口座に入れるなどして、しっかり管理しています。今回、刑事告発された額が5派閥で4千万円と聞き、桁が一つ違うんじゃないかと思いました」

 と打ち明ける。

 数年前のことだ。自民党のある派閥の議員が、女性関係で問題になった。女性は「マスコミに情報を流す。裁判する」と激怒していたという。

「問題の議員は派閥の親分に相談し、泣きを入れました。仕方なく何百万円か用立てて、『解決するように』と渡したそうです。当然、使われたのは派閥の裏金です。何百万円なら派閥の親分たるもの、返せとは言いませんしね」

 とAさんが振り返る。

1987年5月、東京都内で開かれた一晩で11億円の政治資金を集めたとされる故竹下登・自民党幹事長(当時)のパーティー。当時も企業や団体に対する自民党の「看板」は強かった
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上脇教授「氷山の一角」