スマホやゲーム機の普及でゲームセンターに入り浸る子もめったにいなくなり、PTAらによる補導員パトロールの見直しが必要だと指摘する声も(写真/GettyImages)

 街頭をパトロールし、不良少年少女に注意や助言などをして非行を防ぐ「補導員」。PTAから選出される地域もあり、自治体から委嘱される仕事として報酬(補助金)が出る。令和の今、この補導員制度のあり方が問われている。AERA 2023年12月4日号より。

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 補導員をPTAから選出する仕組みを「本末転倒」と指摘するのは『PTAのトリセツ』共著者、今関明子さんだ。

「このやり方では、『補導員をやりたくないからPTAに入らないでおく』という人が出てきてもおかしくない。PTAにとっては迷惑な制度でしかありません。PTAが全員加入だった時代はもう終わっている。行政がPTAに人を出させる仕組みはもうやめるべきです」

 今関さん自身も約10年前、神戸市の学校でPTA会長を務めていた際、夏休みのパトロールや献血活動など希望者が出づらい校外の活動をやめている。だが、やはり難しいと感じることは多かったという。

「自分たちが断れば別の誰かに負担がかかるという仕組みは真面目なPTA役員さんにとって一番つらい。だからつい自分を犠牲にして引き受けてしまいます。校長も、保護者が負担に感じているのを知っているからこそ『うちの学校だけやらない』とは言いにくいんですね」

問題は自治体の補助金

 では、どうすればこの状況を変えられるのか。今関さんは自治体が出す補助金の問題を指摘する。事業の要不要の見直しをしないまま補助金=報酬を出し続けるから、無理な動員が起きてしまうというのだ。

「こういった活動は補助金を断たない限り変えられないと思います。みんな『お金の出どころから頼まれて活動している』と思っているので」

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