一方、高級のり弁ももちろん美味しい。美味しいんだが、その美味しさの中身はあの「のり弁」とは対極といえよう。おかずが多く、こだわりの気取った味、たっぷりのボリューム。つまりは海苔が入っているとはいえ、あののり弁とは根本的に別モノである。そもそものり弁の元祖は、日本が貧しかった時代の、ご飯とおかかと醤油を重ねただけの弁当であることを考えれば、「高級のり弁」の概念自体がシュールでもある。
で、私自身は高級じゃないのり弁の方が圧倒的に好きだナ。美味しさって結局は好みで値段は関係ないですね。私は過剰さよりバランス派。のり弁の華はやはり海苔で、それは全体が質素だから得られる華ではないでしょうか。
※AERA 2023年12月4日号