元朝日新聞記者でアフロヘアーがトレードマークの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。
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「高級のり弁」なるものを食べる機会がありまして。
といっても高級と書いてあったわけではなく、包み紙に「のり弁」とあったので、のり弁好きとしてはいそいそと包みを開いたら……いや、超ガッツリご馳走てんこ盛りなんですけど……ど、どこがのり弁? と思ったら、全国各地から集めに集めたこだわり食材のオカズがぎっしり乗りすぎていて、海苔もご飯も目視不能になっていたのでした。予期せぬことに目を白黒させながら必死に完食した時には、お腹パンパンでもう動けません。
って言うか、思い返せばオカズがすごすぎて海苔の存在感が全く思い出せない。あれは本当にのり弁だったのか?……と調べてみたら、千円以上する「高級のり弁」が流行ってるそうでして。行列のできる人気店も多く、新たな店も次々できているらしい。ふうん。
ちなみに私の世代にとって、のり弁といえば無論「ほっかほっか亭」。学生時代は部活前に本当によく食べた。おかずは白身魚のフライ、ちくわ天、きんぴら少々と漬物で、メニューの中で最安値。でも懐に余裕があってもなぜか結局コレを買う。あの独特のご飯とおかずのバランス、気取らないホッとする味、適度なボリューム感が、何回でも食べたくなる感じなのだ。