だが台湾には大きな弱点がある。食糧の自給率(カロリーベース)が31%で日本の37%よりさらに低く、エネルギー(石油、天然ガス、石炭、水力・原子力発電など)の輸入依存度は99.4%(2010年)に達し、兵糧攻めに弱いことだ。約2400万人の人口を養うには一日平均1.7万トンの食糧を積む貨物船1隻、15万トン級石油タンカー1隻の入港が必要だろう。

 もし戦争になれば、中国軍は台湾の港に入っている商船を弾道ミサイルや巡航ミサイル、航空機で攻撃し、食糧、石油などの輸入を阻止しようとするかもしれない。外洋を進む船を攻撃するより、港内に停泊して荷揚げをしている船を狙う方が容易だからだ。

 中国軍が台湾に上陸し地上戦をしたり、都市や工場を爆破したりすれば占領しても手に入るのは焼け野原で、住民が恨みを抱いて離散すれば復興と治安回復に苦労することになる。兵糧攻めで圧迫し分離独立派を降伏させれば、上陸作戦に比べ物的損害も死傷者も比較的少なくて済み、統治は比較的容易になるだろう。もし、中国が武力で統一しようとするなら、兵糧攻め戦略を使うのではないかと考える。

 台湾人が飢えるような状況になれば、アメリカ軍はミサイル防衛能力の高い駆逐艦で台湾の港を護り、中国本土のミサイル発射機をミサイルや航空機で攻撃、逆に遠距離から中国を海上封鎖して海運を遮断することになるだろう。

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