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 アメリカが「台湾の独立」を支援して米中2大国の戦争となった場合、アメリカは台湾を守り切れるのか。中国軍の台湾上陸部隊の一部を海上で阻止、上陸した中国兵を捕虜にしたとしても、それで戦争が終わるわけではない。軍事評論家・田岡俊次氏が両海軍の戦力を比較。著書『台湾有事 日本の選択』(朝日新書)から一部抜粋、再編集して、説明する。

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兵糧攻めに弱い台湾

 中国が台湾を支配するため上陸作戦をして制圧するのは容易ではない。中国海軍は3万t級揚陸艦(陸兵各1200名、ヘリ28機搭載)を3隻持ち、さらに2隻を建造中だ。中型、小型の揚陸艦57隻も使って海上輸送能力は計3万7000人程度と見られる。

 一方、台湾陸軍は9万4000人で海兵隊(海軍陸戦隊)が1万人。それに加えて徴兵で訓練を受けた予備役兵は150万人と公表しているが、実際に動員できるのは、その数分の1だろう。しかし、現役の陸兵10万人余だけでも、第一波として上陸して来る中国兵の約3倍だ。第一波が上陸地点を確保しないと、後続の部隊は上陸できないし、台湾西岸の大部分は遠浅の沼地、東岸は断崖が続いて上陸適地は数少なく、地対艦・艦対艦ミサイルを多く持つ防衛側に有利な地形だ。

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兵糧攻めの中国側の利点