「そもそも政治家になろうと思う人が少ない。なろうとしても、なり方がわからない人が多い。女性の政治家で、若い人が憧れるようなロールモデルがいないことも影響していると思います」

 議会や役所は典型的な男性社会。パワハラ、セクハラも多く、無事に当選できても、2期目はあきらめる女性議員は後をたたない。本目さんの調査によると、15年の統一地方選挙で当選した東京23区の新人女性議員のうち、約3割が2期目の出馬をあきらめていた。

 そこでウーマンシフトでは、政治を志す女性や現職議員向けに、勉強会やワークショップを開催している。そこでは、選挙活動や議会活動の知識やスキルから、有権者からのセクハラ対策まで、様々な学びの場を提供している。その活動を通じて、本目さんは女性が政治を学ぶ場所が少ないと感じている。

「政策を実現するためには、決定権を持っている議員にあらかじめ根回しをしておくことも必要です。これは民間企業でも必要とされる広い意味での政治技術なのですが、今の日本では、女性が仕事で政治的な経験をする機会が少ないのです」

■女性が増えると質問内容変わる

 ドイツの宰相ビスマルクは、「政治とは妥協の産物であり、可能性の芸術である」との言葉を残した。むしろ「妥協こそが政治」ともいえる。本目さんは言う。

「議会で女性が発言する機会が増えると、保育や教育、福祉といった生活に密着した議題が増えると言われています。もちろん、男性議員でも子育てに参加している人は積極的に日々の生活の課題について質問しています。地方議会では生活者の目線のある議員がもっと増えてほしい」

 新しい政治家を増やすにはどうすればいいのか。そこで欠かせないのが、政治活動を支えてくれる支援団体だ。国政政党であれば、業界団体は自民、創価学会は公明、労働組合は立憲民主や国民民主といったすみ分けがある。地方議員の第一歩は、規模は小さくとも支援者を組織することにある。

 今回の統一地方選では、既存の枠組みにとらわれない形で議員を目指す立候補予定者もいる。

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