■規制多い公選法 新人候補に不利

「有名な政治家の知り合いもいないので、シロと並んだ二連ポスターを作ろうとしたら、選挙管理委員会から『動物との二連ポスターはダメです』と言われてしまいました」

 公選法は公平な選挙を実現するための法律だ。ただ、時代に合っていない規制も多く、知名度を上げたい新人候補者に不利な法律だ。今年に入ってからは、公選法をめぐる“事件”も起きた。

 4月23日投開票の東京都杉並区議選で、区の選管は、若年層の投票率を向上させるためにボートマッチ(投票マッチング)事業の準備を進めていた。これに対し総務省は今年2月、区の選管が主体となったボートマッチは、公平性の問題から公選法に抵触する可能性を指摘。事業断念に追い込まれた。

 ボートマッチはドイツやオランダなどでは公的な団体が実施していて、選挙期間中では当たり前の光景だ。それが日本ではできない。杉並区関係者は「投票率を上げたくない政治家がそれだけいるということ」と嘆く。

 政治家の新規参入を妨げる規制はいつまでたっても改善されない。そのため、日本の政治は遅れてしまっている。

 内閣府の「全国女性の参画マップ(地方議会編)」によると、全国に1741ある市区町村議会のうち、女性議員がゼロの議会は全体の15.8%にあたる275。女性議員が比較的多い市区議会でも、女性が占める割合は17.5%だ。

 国会議員はもっとひどい。2021年10月の衆院選当選者のうち、女性が占める割合は9.7%。世界各国で女性議員の比率が増えるなか、日本だけが横ばいだ。ちなみに、日本で初めて女性の国会議員が誕生したのは1946年。39人の女性が衆院選で当選し、割合にすると8.4%だった。それから77年経つが、日本の女性議員の比率はほぼ変わっていない。

 台東区議会議員で、女性議員のためのネットワーク団体「ウーマンシフト」の本目さよ代表理事は、女性の政治家が少ない理由を、こう話す。

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