杉並区議選に緑の党グリーンズジャパン公認で立候補を予定しているブランシャー明日香さんは、気候変動問題対策を公約の柱に掲げた。ブランシャーさんは言う。

「気候変動対策というと国や大企業がするものと思われがちですが、一人ひとりの意識の変化が大切。杉並区でやれることはたくさんあります」

 ブランシャーさんが手がけているのが「オトナカフェ」だ。気候変動問題をはじめとする様々な政治課題について、大人たちが真面目に楽しく議論する場を提供している。

 3月19日に開かれたオトナカフェには、未就学児から60歳以上の高齢者まで、14人が集まった。名付けて「ミニ気候市民会議」。進行役のブランシャーさんが、参加者にこう呼びかけた。

「杉並区では、CO2(二酸化炭素)の総排出量のうち、52.8%が家庭から出ています。今日は、それをどうやったら減らすことができるかをみんなで考えましょう」

 まずは、参加者が思い思いのアイデアを出し合う。突飛な提案でも、否定しないのがルールだ。

「焼却の時にエネルギー消費量が多い生ゴミを減らそう」「断熱効率を良くするためにガラスを二重にしよう」など、CO2排出削減の具体的なアイデアが次々に出てくる。

 次は、そのアイデアを周囲の人にどうやって広げていくか。最後に、自治体や政府などの公的な団体に実現してほしい政策について話し合う。

 すると「避難訓練みたいに、CO2削減を学ぶ日を杉並で制定しよう」「CO2削減に協力した人にエコポイントをプレゼントしよう」などといった具体的な政策が次々に出てきた。オトナカフェは1時間半の短い時間だったが、ブランシャーさんは「私の政策に採用したいぐらい、良いアイデアがたくさんありました」と満足そうだ。

 気候市民会議の発祥は英国やフランスなどのヨーロッパで、19年から広がり始めた。

 業界団体の支援を受けた議員で構成された議会では、利害関係が複雑で大胆な政策転換が難しい時もある。気候市民会議は議会の弱点を補完し、市民の声を政策に直接反映するための試みだ。メンバーはくじ引きで選ばれ、最後は性別や年齢などのバランスを調整した上で決定する。

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