アルビレックス新潟の太田修介(写真:西村尚己/アフロスポーツ)
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 30周年を迎えた2023年のJリーグは佳境を迎え、J1では残り1節を残して神戸が初優勝を決め、横浜FCのJ2降格も事実上、決まった。その他、優勝争いに加わることができずに思い描いたようなシーズンを過ごせなかったチームも多いが、その一方で来季へ向けて“可能性を感じさせた”チームもある。

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 リーグ優勝は叶わずも、今季最も「成功した」と言えるチームが、福岡だ。Jリーグ加盟から28年、4度のJ2降格を経験してきたエレベータークラブは、2021年にJ1でクラブ史上最高順となる8位に入ると、昨季は14位と苦しみながらもJ1残留。迎えた今季、就任4年目となる長谷部茂利監督の下で得点力アップに成功しながら粘り強い戦いを披露(現在リーグ6位)すると、天皇杯で準決勝進出。そしてルヴァン杯では見事、優勝を飾ってクラブ初タイトルを獲得した。
 
 まず大きいのが、長谷部監督によるチームの継続性だ。その土台の上で、今季は井手口陽介、前寛之、紺野和也ら運動量豊富なMF陣がボールを拾い続け、前線にはエース・山岸祐也が君臨。チーム全体の連動性、組織力は非常に高まっている。何より、タイトルを獲得したことでクラブ全体の意識は間違いなく変わる。上位陣と比べると選手個々が能力的に見劣りすることは否めないが、すでに故障から復帰したルキアン、長期離脱中の佐藤凌我が戻ってきた上で、オフに効果的な戦力補強を行うことができれば、来季への楽しみはさらに膨らむ。

 今季がJ1復帰初年度だった新潟も来季への可能性を感じさせたチームだ。松橋力蔵監督の下でJ2優勝を果たした攻撃的パスサッカーを携えて6年ぶりのJ1舞台に挑むと、開幕から伊藤涼太郎が傑出したパフォーマンスを披露した中で勝点をもぎ取った。次第に守備面の“脆さ”が目立つようになり、攻撃陣も大黒柱の伊藤が6月11日の第17節を最後に海外移籍となり、第25節終了時点で15位まで順位を落としたが、26節以降の8試合は3勝5分けの“負けなし”で10位まで再浮上している。

 来季は松橋体制3年目となる見込みで、福岡同様に継続したチーム作りができるのは大きなプラス材料。選手個々に見ると、U-22代表の主力でもある三戸舜介の成長ぶりは目を見張るものがあり、離脱期間が長かった高木善朗、太田修介も万全ならば期待できる。課題は1トップの人材になるが、今季の補強は最低限だっただけに今オフは外国人も含めて積極的に動いてもらいたいところ。戦術的なベースは整っており、サポーターも含めてクラブの一体感もある。爆発するFWが出現すれば、今以上の順位で戦えるはずだ。

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残留争いから上位進出の期待も