~デビュー戦の花道で初めて入場曲を知るレスラーが多い
選手入場を作り出す大きな要素は入場曲。客席が一体となって旋律を合唱する『The Rising Sun』はWWEを代表する名曲と言われる。
「入団契約して準備のため帰国した時期に、WWEミュージックの作曲担当プロデューサーとアイディアを出し合った。向こうから来たものにダメ出ししたこともある。時間をかけてしっかり作り上げたので思い入れは強い」
2018年から一時期ヒールに転向をした際も、原曲をラップ調にアレンジした『Shadows of a Setting Sun』として使ったほどだった。
「米国はトップ=ボスの言うことが全ての完全なるトップダウンの世界。僕の場合も最終的にはトップがゴーサインを出したから使えているわけです。その中でも意見できる部分があったのがラッキーでした」
新日本プロレスで長年使用した名曲『Subconscious』。潜在意識を表す同曲は中邑の生き様を投影しており本人も気に入っていたというが、変えることに抵抗はなかったのか。
「抵抗は全くなかった。米国挑戦を決めた時点で変化を求めようと思ったわけです。その過程なので新しいものはウエルカム。もちろん『Subconscious』も素晴らしい曲だったのですが、それ以上に思い入れのある曲ができたと思っています」
~グレート・ムタ戦の花道で犯した1つのミス
入場コスチュームにも徹底的なこだわりを持つ。生地の選択段階から自らアイディアを出して自己表現できるものを作り上げる。
「衣装担当の方は今までプロレスラーのコスチュームを作ったことがない方。こちらから連絡して米国まで来てもらい採寸してもらった。製作過程で喧嘩もするんですが(笑)、ぶつかり合いながら良いものを作れています」
「WWEは良いカメラとライティングを使用しているので細部を誤魔化すことができてしまう。実物が『安っぽい衣装だ』と感じてもカメラを通すとそうは見えなくできます。僕はそういうのが気になるので最初から製作に関わりたいです」
「実はWWEの選手で日本の企業にコスチュームを作ってもらっている人が多い。米国で手に入らない生地もあるし細かい部分にこだわることができる。耐久性も良かったりします。僕も米国で衣装を作ったこともありますが日本のものとは違いを感じました」