2025年3月卒業・修了予定の大学・大学院生を対象にした「就職人気企業ランキング」1~10位。学情が発表した
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 就職情報会社の学情が2025年3月卒業・修了予定の大学・大学院生を対象にした「就職人気企業ランキング」を発表した。毎年調査している恒例のランキングで今回トップとなったのは総合商社の伊藤忠商事。コロナ禍をはさんで6年連続のトップとなり、同ランキングの最長トップ記録を更新した。出版大手の講談社、集英社、ゲーム会社の任天堂が続き、魅力ある強いコンテンツを持つ企業の人気も際立った。

【就職人気企業ランキング200】ぜんぶ見る…男女別、文理別、業種別も

 アンケートは2023年4月から10月まで、あさがくナビ会員学生や学情主催のイベント来場学生を対象に実施。回答の数値に学校所在地や文理、男女の区分による補正を加えランキング1位を100としてポイントを算出した。(あさがくナビ編集長・福井洋平)

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 過去のランキングではサントリーが2006~08年卒で、ANA(全日本空輸)が16~19年卒でトップとなっているが、伊藤忠商事の6年連続首位は現時点での最長トップ記録だ。

積極的な働き方改革

 総合商社の伊藤忠商事は長らく財閥系の三菱商事、三井物産の後塵を拝してきた。資源に強い三菱、三井とは別の路線を模索し、非資源分野で積極的に事業展開。コンビニ大手のファミリーマートや輸入車ディーラーのヤナセ、人気ブランドを数多く抱えるアパレル分野など生活消費分野で業績をあげてきた。その成果もあり、20年度決算ではほかの総合商社がコロナ禍で苦戦するなか、初めて売り上げや利益でトップに。22年度決算では円安の影響もあって三菱、三井が純利益1兆円超えを達成し、伊藤忠商事は3番手で減益となったが、人気は落ちなかった。

 また、伊藤忠商事は女性ランキングでも3位と、ほかの総合商社に比べて相当に高い。午後8時以降の残業を原則禁止する「朝型勤務」など、働き方改革への取り組みに積極的なこともアピールポイントになっているものとみられ、順位を押し上げる要因となっている。

コンテンツ力がカギか

 今回のランキングでは、強いコンテンツを持つ企業が軒並み順位を上げ、上位に入った。2位講談社、3位集英社、7位KADOKAWA、9位小学館と出版社がトップ10に4社入ったのは、01年以来初めてのことだ。ゲーム・おもちゃ業界では4位の任天堂、33位のバンダイナムコエンターテインメント、70位のカプコンは少し順位を落としたものの、15位のバンダイ、39位のセガ、41位のコナミグループ、66位のタカラトミーグループ、85位のソニー・インタラクティブエンタテインメントが、映画業界では32位の東宝、61位の東映がそれぞれ順位を上げて上位に入った。そのほか「ディズニーランド」などを運営するオリエンタルランドが8位(前年9位)、ソニーミュージックグループが21位(前年22位)、TOHOシネマズが43位(前年58位)と上位に入っている。

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福井洋平

福井洋平

2001年朝日新聞社に入社。週刊朝日、青森総局、AERA、AERAムック教育、ジュニア編集部などを経て2023年「あさがくナビ」編集長に就任。「就活ニュースペーパー」で就活生の役に立つ情報を発信中。

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講談社、集英社、小学館にKADOKAWA