格闘家の青木真也

敗戦試合は「だめな盛り上がり方」だった

――動画の再生数など、数字と言う点ではブレイキングダウンは成功しています。

 今はなんでも再生回数がいくらとか、フォロワーが何人だとか、ページビューがどうとか、目先の数字ばかりを追いますよね。ブレイキングダウンの、ある選手と会ったことがありますが、どう伝えるか、どう拡散するかという能力は非常にたけていると感じました。ただ、もちろん拡散も大事ですが、僕はそんな動画やSNSを見てもまったく面白いとは思いません。その人にしかできないことや、その人にしか言えない言葉ではなく、大衆にウケようとしているだけですから。僕が目指しているものとは全く違います。

――朝倉選手の去就に注目が集まっています。

 一流アスリートは、人によっては選手生活の終盤になると、負けることで誰かを輝かせることが続きますよね。それが嫌で引退する人もいる。朝倉選手はそのあたりの損得がちゃんと見える人だと思うので、引き際は分かっているんじゃないでしょうか。ただ、今回の試合は、試合前はあまり盛り上がらず、朝倉選手があんな負け方をしたことで一気に話題になった。だめな盛り上がり方だということは、朝倉選手が一番わかっていると思います。

――青木さんは、今後、どう盛り上げていきたいと考えていますか。

 いいものを見せる。そして、それが分かる客と一緒に、「ムラ」をていねいに作っていくことが大切だと考えています。

(AERA dot.編集部・國府田英之)

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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