馳氏から抗議を受けた「石川テレビ」の本社

■ドキュメンタリー映画に抗議

 馳氏の発言が事実であれば、もちろん、IOC倫理規定に抵触する可能性も出てくる。東京オリンピックをめぐる汚職・談合事件では、電通などから複数の逮捕者が出ており、すでに裏金の存在が明らかになっているが、新たな疑惑が発生したことになる。

 実は、馳氏の発言が物議をかもしたのはこれだけではない。

 今年1月には、馳氏も題材として取り上げられたドキュメンタリー映画「裸のムラ」(昨年10月公開)に対して、馳氏自身や県職員の映像を無断で使用したと批判。「肖像権の取り扱いとして納得できない」と、制作した石川テレビの社長に「2月の定例会見への出席」を求めた。そして、同社社長が出てくるまでは定例会見を開かないと公言するなど、強硬な態度を示した。

 石川テレビの常務取締役放送本部長で、「裸のムラ」でプロデューサーを務めた米澤利彦氏はこう話す。

「保守王国である石川県では前々知事が8期31年、前知事が7期28年を務め、長期県政が続いています。そうなると、どういう組織でも忖度が生まれます。映画は、果たしてそれがいいのかという問題提起がテーマです。また、一般家庭でも、父親が絶対的でそれに女性と子どもが従う『家父長制』の風潮が残っており、その風潮と県政への忖度が似ているのではないかということを描いています」

 映画では、終盤に馳氏が新知事として登場するシーンがある。

「馳さんの主張は、商業映画の場合、県庁の職員に肖像権があり、事前に承諾を得るべきではないかというものでした。ですが、私たちは議会や記者会見など、取材活動が認められた場所から撮った映像しか使っていません。ドキュメンタリー映画であって、報道活動と何ら変わりません」(米澤氏)

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「定例会見」は名称を変更