米国のテッパー・スクール・オブ・ビジネスの教授が率いた研究では、ある集団の問題解決能力は、その集団に属する個人のIQよりも、その集団に何人の女性が含まれているかに関係しているという結果が出ている。いくら個々人の頭脳が優れていても、似たような経験しかしたことがなければ、同じような課題や解決策しか思いつかない。
何かを決める集団には多様性が必要なのだ。これは、単にいろいろな層の代表が含まれないと公平ではないという人権上の問題だけでなく、多様性がないと集団の問題解決能力が落ちるというシビアな事実を含む。パンデミックなどの一大事では、政府は問題解決能力を最大限に発揮せねばならないのに、均一な集団では能力が劣化する。
閣僚写真に同年代の男性がずらり並ぶ国もある。前述の調査に則れば、それは問題解決能力の低い政府だ。戦争、物価高と一大事が続く時代、政府の多様性はサバイバルの条件として捉えられるべきだ。
※AERA 2023年11月27日号