韓国のトコジラミ被害は、訪れた外国人旅行客が持ち込んだという見方が強いが、インバウンド需要が回復した日本にとっても「対岸の火事」ではまったくない。近年、相談件数は増加している。
有害生物を調査研究する公益社団法人「日本ペストコントロール協会」のまとめによると、2022年度のトコジラミに関する相談件数は683件。
統計を取り始めた09年度と翌10年度は130件前後だったが、その後に急増し、ここ10年は平均約580件となっている。
トコジラミは気温25度以上になると活動が活発化し、主な活動時期は6~9月。一方、寒さには弱いともされてきた。だが、昨年度の相談683件のうち、12~2月の3カ月間で47件が寄せられている。
暖かくなるのを待っている
白井さんがこう説明する。
「日本の家屋は暖かいので、人や物の出入りがある地域なら、冬でも活動するのが当たり前だと思った方がいいです。寒冷地で、一切暖房をつけないという家なら別ですが……。害虫駆除の業者にも、1年を通じて駆除や被害相談がきているのが実情です」
さらに、寒さは苦手だが、耐えしのぐ強靱(きょうじん)さがあるのがトコジラミ。絶食しても長く生きることができるため、寒い部屋ではどこかに隠れたまま「冬眠」のように活動を停止しているだけで、暖かくなるのを待っているのだ。
「人が生活している以上、ずっと寒い部屋はないはずで、例えば就寝時に少しだけ暖房をつけるだけでも、トコジラミが活動する環境は整います」(白井さん)