本連載の書籍化第5弾!『鴻上尚史のおっとどっこいほがらか人生相談』(朝日新聞出版)
本連載の書籍化第5弾!『鴻上尚史のおっとどっこいほがらか人生相談』(朝日新聞出版)

 25歳になろうとしている、現在の私は、こんなんでも楽しくやっています。ひとり暮らしですが、両親とはしょっちゅう会い、外食したりしますし、大好きな推しもいて、自分で稼いだお金と貴重な休みを推しに注ぎ込めてることに喜びを感じています。それ以外にも、料理読書、映画鑑賞など趣味もたくさんあります。

 恋人や友人がいないことに負い目を感じることも、昔はありましたが、今はありません。

 だから、会社の上司とかにも、聞かれたら平気で「友達はいません」って答えます(ご時世もあり、恋人の有無は聞かれたことはありません)。

 ……ドン引きされました(笑)。

 誰がどう言おうが、皆がなかなか仲良くなれなくて困っている、「自分」とは仲良くなれたから、別に良いって本気で思ってます。

 問題は……この先です。

 25歳の私は平気でも、35歳、45歳、55歳…と歳を重ねた私は大丈夫かな?ってことです。

 両親はいつか必ずいなくなりますし、推しだって、終わりはあるはずです。

 両親も、推しも、いなくなったあと、ひとりぼっちの私は、ちゃんと生きていけるのか不安があります。

 今の私は、人間関係のしがらみがなく、自由に暮らせていることに、ただならぬ幸せを感じています。

 それでも、未来の自分のために、今の自分を犠牲にしてでも、結婚に向け頑張るなり、友達増やすなりをした方が良いのでしょうか。

 人生の先輩であることに加え、非常に尊敬している鴻上さんのご意見を伺いたく存じます。

【鴻上さんの答え】
 ひねくれすぎ代ちゃんさん。もう、なんというペンネームですか。すぎちゃんにしておきますね。すぎちゃんの前半の自己紹介、「ドン引きされました(笑)」と書かれてますが、ぼくは全然、引きませんでしたよ。

「他人が勝手に決めた価値基準に踊らされるのは、あまりにも人生の無駄遣い」という考えはもっともだと思うし、「自分の価値を他人に決めさせることに抵抗があり、恋愛市場に並びたくなく」という思いをしている人は、一定数、いると思います。自分がモヤモヤと感じていたことを「そう、そういうことなの!」と激しくうなづいている女性も間違いなくいるでしょう。

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