「洗濯していときにサビの歌詞とメロディーが一緒に浮かんできた」という44作目のシングル「星の降る日に」

「aikoらしい」という言葉に不安を感じた

 ソウルミュージックの雰囲気を取り入れたサウンドも印象的。アレンジを手がけているのは、デビュー前から現在に至るまで、aikoの楽曲に数多く関わってきた島田昌典だ。

「レコーディングのとき、島田さんやバンドのみなさんが『70年代くらいのソウルシンガーのバックで歌っている黒人の女性コーラス隊がゆったり踊ってる感じだね』なんて話していて。私のイメージを明確に形にして、さらにブラッシュアップしてもらえるのはすごくうれしいです。関わってくれるミュージシャンがすごい人ばかりだから、制作が進むにつれて、〈この曲で本当によかったのかな〉って不安になることもあって。最後はいつも〈曲作ったのは自分。みなさんにすごくいい曲にしてもらったから、がんばって絶対に届けたい〉という執念みたいな気持ちになります」

 シングルには、〈あたしの守った心はあなたがくれたもの〉という歌詞が心に残るバラードナンバー「いつ逢えたら」(TVアニメ『君は放課後インソムニア』主題歌)、恋愛中の不安、楽しさ、恥ずかしさを描いた「名のないハート」を収録。どの曲にも、聴いた瞬間にaikoの楽曲だとわかる個性、そして、アレンジや歌詞における新しい表現が共存している。

「〈aikoの曲はどれもaikoらしい〉と言われることに、一時期は不安を感じていたこともあったんです。同じような曲しか作れてないのかなって。自分なりにいろいろな表現をしているつもりだけど、受け取ってくれるのは聴いてくれるみなさん。自分と周りの人たちを信じてやっていくのがいちばん大事だし、〈変わらずして変わる〉ことを続けていきたいですね」

 また、配信リリースされた「ラジオ」も話題を集めている。もともとは2011年にCDリリースされた初のベストアルバム「まとめI」「まとめII」の初回限定仕様盤の特典ディスクに収められていた楽曲で、学生時代からラジオのヘビーリスナーだったという彼女の経験が反映されている。

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