こちらは自宅での一人飲みの食卓。アテは自家製ラッキョウ漬け。これはこれでウマイ(写真:本人提供)

 で、翌日早速沢庵を頂く。余分な甘さのないキリッとした味わいが100%好みで嬉しかったんだが、さらに驚いたのが頂いた惣菜(きんぴら2種)だった。売り物の惣菜といえば濃い味と覚悟していたら、もう全くの正反対! 甘味も塩味もごく控えめの超優しい、これも私好みどストレートなお味であった。これなら毎日でも食べたいよなあ、こんな店が近くにあったらあのおばちゃんは私のお母さんみたいなもんだと考えていて、ハッとする。

 昔はこんな店がたくさんあった。ってことは、みんな家の外に「お母さん(女性に限らぬが)」がたくさんいたってことだ。自分好みの店を見つけるって、そういうことだったんだ。それが当たり前だった時代があったのだ。

稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行

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