また昨今は、子どもの心の問題の中で発達障害だけがあまりにも大きな問題として注目され過ぎてしまっているように思います。発達の特性は重要な軸ですが、それだけで子どもの問題のすべてが決まるわけではありません。家庭の安心感やアタッチメントの安定性(困った時に養育者にうまく頼れるかというテーマ)、いじめなどのトラウマ体験、それ以外の精神疾患の有無なども影響してきます。それらをバランスよく診なければならないし、その上で発達障害の特性が際立っているときに、それに応じた環境づくりを応援していくというのが、本来の発達障害の臨床だと思います。
(文・熊谷わこ)