2040年完了を目指して急ピッチで作業が進む日本橋川を覆う首都高速道路の地下化に伴う工事。周辺では親水空間の整備が予定されている(撮影/写真映像部・高野楓菜)

「『またか』と呆れられても手を替え、品を替え唱えていると、次第に『本気だな』と受け止められるようになりました」(中村さん)

 2011年の東日本大震災を経て国土再生の機運が高まったのを捉え、満を持して「首都高の撤去または移転」を求める署名活動に乗り出す。日本橋の企業や商家のネットワークをフル稼働し、衆参両院合わせて44万筆を超える署名を提出した。17年6月に参議院に署名を提出して1カ月後、国と都が首都高の地下化を正式発表した。

「感無量でした。でもこれは、歴史と文化を感じられる日本橋のまちづくりのスタートラインだとも思いました。日本橋地区には日本橋を含め五つの重要文化財(三越、日本銀行、三井本館、高島屋)があります。こんな地域ってほかにない。これからが勝負だと思っています」

 日本橋の歴史の重みを肌で知る中村さんの視線は未来を見据えている。(編集部・渡辺豪)

AERA 2023年11月13日号より抜粋

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