阪神とオリックスの優勝パレードの実施について発表する関西経済連合会の松本正義会長(左から2番目)と、大阪府の吉村洋文知事(左)、兵庫県の斎藤元彦知事。会見場は「万博」だらけ=2023年9月22日

 阪神VSオリックスの日本シリーズは、阪神の38年ぶりの日本一で幕を閉じた。これにもうひと盛り上がりを期待しているのが、大阪府と兵庫県、関西経済連合会だ。3者と万博協会でつくる実行委員会が、11月23日の祝日に両チームの「優勝パレード」を両府県で開くことを決めた。ただ、いろいろと“問題”が浮かび上がっている。大阪府の吉村洋文知事は、職員をボランティアに駆り出すことを決め、実行委は経費としてかかる5億円をクラウドファンディングで集める予定だが、まだ遠く及ばない。そして何より、大阪・関西万博の「宣伝利用」に嫌気をさす人からの批判の声がいまだに多い。

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「いくらなんでも休みの日に呼び出されるなんてね」

 と渋い表情で話すのは、大阪府の現役職員のAさん。

 所属する部署の管理職から、

<ボランティア募集>

 というメールが届いていたのを見せてくれた。

大阪府、市で1500人

 ボランティアの内容は、11月23日の優勝パレードでの誘導や案内役など。従事する時間は、午前9時ごろから午後4時ごろまで。交通費、食事などの支給もないまったくの「手弁当」だという。

 大阪府によれば、ボランティアの募集人数は、大阪市と合わせて1500人程度を見込んでいる。府では、職員専用サイトのほか、部署によっては管理職がメールをしたり、職場で声をかけたりして募っているという。

「うちの管理職は『集まるかなあ、誰も応じなかったら嫌だなあ』『上から怒られないだろうか』などと心配そうにしていました。うちの職場からの応募者は、現在のところ阪神ファンの一人だけです。全体でも1500人には達していないと聞いています」(Aさん)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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